6月定例議会


市民が主人公のまち 市民の暮らしを最優先に考えるまちをつくるために

萩市議会議員選挙後の初めての一般質問です。

 今回の質問では、市民の声を取り上げ、市長の考えを質すとともに、いくつかの提案をして、市民が主人公として大切にされるまちができるようにしたいと思います。

 いま地方自治体には、三位一体の構造改革といわれる厳しい財政削減による攻撃が強められています。とくに田舎の小さい自治体ではいっそう厳しい状況がもたらされています。あわせて、庶民にも弱肉強食の自由主義社会といわれる競争原理がどんどん押し付けられ、介護福祉や障害者福祉、医療など社会保障を中心に暮らしをおびやかす施策がめじろ押しです。先日も、介護費用の負担が重くて、施設から出して海に放り込んで私も死のうかという人からの相談がありました。この社会の状況はかなり深刻です。

 そのなかで自治体が市民の暮らしを守ることを最優先に事業を進める必要があると考えます。


高齢者など住民の交通手段の確保をはかれ

 そこでまず、第1番目に市長に住民の深刻な声を届け、その対応についてお聞きしたいと思います。

高齢者福祉タクシーの復活を

 ①高齢者福祉タクシー制度の復活についてお聞きします。

4月から須佐、田万川で行っていた高齢者の福祉タクシーが廃止され、通称ぐるっとバスの運行に変更されました。それまで、高齢者の交通手段として本当に有効に使われていましたので、この廃止は高齢者の生活を大きくおびやかすものになりました。

 タクシーを利用してきた地域に行けば、必ず高齢者から出される要求は、復活して欲しいという切実な願いです。市長もよくご存知でしょうが、萩市は山坂が多く、深い谷がたくさんあります。そこで懸命に暮らす人々が居ます。その人々にとって、タクシーは生活の命綱だったわけです。それが切られて、本当に困っているという切実な声は市長に届いていないでしょうか。

 市長は、ぐるっとバスと障害者タクシーの運行助成で対応するということを行っておられます。しかし、ぐるっとバスでは、タクシーの代わりにはならない。
 バスが通るところまで出て行くのが大変だ。時間も決まっているし、行きたいところにはいけない。雨や雪の日には、外で待っていなくてはならない。買い物をしても重い荷物は運べない。など、不満が続出しています。そういう中で本当に多くの方からタクシー制度の復活を望む声が寄せられています。

使いにくい障害者タクシー

 また、障害者タクシーについては、市街地においては、一つの有効な交通手段として活用できます。しかし、すこし奥に入ると、使いにくくなります。それは、1回の乗車で、1枚しか券が使えないからです。例えば私の住む弥富では、タクシーを使えば1回で必ず3000円は必要です。500円の券を使っても2500円の現金が必要です。1000円券や複数の券を使うことができれば状況を改善できるでしょうが、いまの状況では使いにくいというのが実情です。

全市にタクシーを

 こうした状況を考えると、須佐、田万川で行ってきたタクシー制度を復活させ、全市に広げていくことこそ必要と思います。
 年をとっても、障害をもっていても、住み慣れた場所に住み続けたいというのは当然の気持ちです。それを保障するのは、行政の役割だと思います。山の奥であろうと、
 ぜひ、この声に応えていただきたいと思いますが、市長の見解を求めます。

ぐるっとバス 課題にどう対応するか

 ②地域巡回バスの今後の運営方針について

  次に地域巡回バス ぐるっとバスの運営についてです。
 このぐるっとバスの運行は、私もぜひすすめて欲しいと思っていました。これまで交通機関がなかった地域では実施後、歓迎されています。
 しかし、運行するにしたがって課題が見えてきているのではないでしょうか。
 予約して利用するデマンド方式の導入や運行路線の見直しなど、今後の課題にどう対応されるのか。

有償ボランティアで外出支援を 

 ③地域における自治的手法とその支援について

 市民の切実な声を聞いて、市長が「復活しましょう」と言えば、この③の質問は必要ないかもしれません。市民からは、復活を求められていますし、4月に廃止したばかりということで、市長もいろんなことを考えておられるでしょう。そこで、2つの提案をしたいと思っています。

 一つは、有償ボランティアとして、地域の中に外出支援員を配置することです。この提案は、市民の方からお寄せいただきました。田舎でも地域に貢献したいという人がいます。地域の人が、外出支援員として登録し、保険と燃料代、そして一定の報酬を提供し、要望に応じて、活動していくというものです。こういう手法なら、市長が心配する財政負担も少なくてすみ、実現性が高いと思いますが、どうお考えでしょうか。

総合事務所ごとの財源確保で要望に応える仕組みを

 二つは、総合事務毎に、例えば1億円というように一定の財源を確保し、その予算を総合事務所ごとに自由に事業化して、住民の要望にこたえていく、地域自治のしくみづくりをしてはどうかということです。

 その中で、地域の条件に応じた行政サービスを進めていくことができるのではないかと思います。明治維新発祥の地としての伝統を引き継いで、全国に先駆けて萩市が行えば、広域合併の弊害を緩和する取組みとして、広がっていくのではないでしょうか。

 そういう先進的な取組みの中で、福祉タクシー制度の復活をはかってはどうでしょうか。

 いずれにしても、超高齢社会がやってきています。田舎に行けば行くほど、高齢社会です。その生活を支えていくことは、これからの行政が最も優先しなければならない大切な仕事の一つです。市長の英断を求めたいと思います。


陶芸の村公園整備事業は凍結 中止を

 2つめは、陶芸の村公園整備事業について
 陶芸の村公園整備事業は当時のクラフトパーク構想にもとづいて都市公園として1986年から20年継続されてきた事業です。この間11億1500万円が投入され、用地購入や展望台、造成などがおこなわれています。

 昨年度も用地購入がすすめられ、市長はこの公園整備の中核として、山口県が明治維新館を建設し、市が陶芸美術館を整備すると言ってこられました。
 ところが、ことし3月の県議会で、明治維新館の建設は当面凍結するということが明らかにされました。また、萩美術館浦上記念館に20億円の事業費で萩焼展示施設を併設することも示されています。
 当面凍結というのは、事実上の中止であるといわれています。少なくとも、国体が開かれる2011年までの5年間に復活する可能性は無いといわれています。
 陶芸の村公園整備事業の最終年度は2008年度です。

 この維新館凍結と萩焼き展示施設の整備が陶芸の村公園整備事業に与える影響を市長はどう考え判断していますか。
 中核施設がなくなったわけです。さらに萩焼の美術館も棲み分けはするとはいえ、その存在意義は大きく低下しています。
 この事実を客観的に見て、判断すれば、整備の計画が大きく狂い、その目的が失われていると見るのが当然ではないでしょうか。そこに、これからまだ17億円近い投資をして公園を整備する必要があるのでしょうか。

 私は、財政状況が厳しく、財政削減により市民生活に影響が出ているときに、進めるべき事業ではないと思います。
 観光産業のための投資ということであれば、ハードよりソフトを優先すべきです。山口大学がJTBと一緒に、熟年大学を始めました。一人13万円の負担で募集しています。これはいい取組みで、萩こそやるべきだと思っていましたら、講師の1人がなんと野村市長ではありませんか。松下村塾、明倫館、育英館の伝統をうけつぎ現代の人材育成のまちとして、こうした取組みにこそ力を入れるべきです。
 施設整備は金がかかります。整備したからといって、観光客の増加につながるとは限りません。しかし、ソフト事業は確実ですし、投資が少ないためリスクも小さい。明治維新の経験でも、小さな松下村塾で、大きな人材育成の事業がなされたわけです。

 多くの市民は陶芸の村公園整備は、もう凍結し、その予算を福祉や教育などに回して欲しいと望んでいます。
 この状況の中では、陶芸の村公園整備事業は凍結されるのが得策と思いますが、市長の今後の整備方針をお聞かせください。


旧萩市の固定資産税はなぜ高いのか

 3、固定資産税にかかわる課税標準額、土地の評価額の適正な評価について

 旧萩市の市民の方から、「固定資産税が高い。何とかならないものか。市議会で取り上げて欲しい」という要望がありました。
 旧萩市の人に聞いてみると、高いという印象を持つ人がかなりいます。しかし、税率はどこも変わりませんので、課税標準やそのもとになる評価額が高いのではないかということです。
 山口県が昨年示した2005年度の固定資産税課税標準額の比較でも、宅地全体の平米あたりの平均値で、13市のうち、岩国、下松、下関についで高い。

岩国市  3万9742円

下松市  3万0578円

下関市  2万9629円

萩市   2万9111円

県市平均 2万5953円

 山陽の条件のよいところと同じかそれより高い、長門市や美祢市と比べるとハルカに高いわけです。
 市民の皆さんのなかには「市長が国税庁に勤めていたから税金をとる道を知っている。なにか特別な方法をとっているんじゃないか」という人もいるわけです。
 それは誤解だと思いますが、実際に高いところをみると、なぜ高いのか理由をはっきり示さなければ、誤解は解けません。

 無田が原口の市営住宅用地は、土地開発公社が昨年、㎡単価で6万8330円、坪当たり22万5千円で購入しています。適正な時価であるというのが基本ですが、市が購入したのですから、同じ評価であると思います。しかし、いくつかの不動産関係の人に話を聞いてみても、あのあたりは16万から17万円が限度といっています。
 市の評価が高いのか、土地開発公社が購入した金額が高かったのか、どちらにしても市民には納得のいかない状況があるわけです。

 評価は適正に行っているというのなら、市が時価を吊り上げるようなことをしているわけです。ぜひ、市民にわかりやすく納得できるように答えていただきたいと思います。


住民に的確に粘り強く説明する責任がある

 4、住民本位の行政について

 ① 行政事務に関して住民との間に起こった紛争への対処について住民本位の対応が行われているか。
 公務員は全体の奉仕者であることは、言うまでも無いことです。萩市の主人公は市民です。市役所はその市民のために仕事をするところというのは、共通する認識です。
 行政事務に関わって、住民との紛争が起こったときに、市はどんな対応をしているか。あくまでも市民の立場に立って、問題解決をめざすべきだと思います。

 ところが、いくらたずねても、的を得た回答が無いにもかかわらず、何度も説明した。「最終回答をした」といって面談にも応じないように指示が出ています。市の認識が、市民とずれていてそれを指摘し、是正しようとしても、面談に応じない。認識の違いをそのままにして、説明にならない説明をしたから、回答しない。一切交渉に応じないという態度が、果たして市民本位の行政といえるでしょうか。
 市民本位の行政なら、市民の言う意見をよくきいて、疑問点に的確に答え、十分な納得ができなければ、粘り強くわかりやすく説明する義務、責任があると思います。
 そして、行政に落ち度があれば、率直に認め、謝罪すべきは謝罪することが必要です。市民に誤解があるなら、その誤解を完全に無くすまで努力すべきではないでしょうか。

 具体的な事例として、ココに詳細を示すことは、市民と担当者の苦しみを深刻にするだけですから言いません。担当部局では、市民の苦しみを取り除くために、ねばりるよい対応をしようとと思っていたようです。しかし「最終回答は終わったので面談は必要ない」と指示が出ているわけです。
 客観的にみると、市役所が自分に不利な状況にならないように、市民を遠ざけているように見えます。民間同士での争いであれば、往々にしてあることですが、こと市民と市役所で、このような駆け引きのようなことがあってはなりません。

 市行政の最高責任者として、市長は市民本位の行政のありかたとして、どう考えますか。首長の市民への姿勢が問われていると思います。


介護保険 予防給付 生活援助 不安解消したか

 5、介護保険制度改定への対応について

 ① 新予防給付事業の介護計画作成について

 ② 生活援助について

 ③ 保険料引き下げについて

 4月から介護保険制度が大きく変わってきています。この2か月の取組みの中でも大丈夫なのかという不安が出てきています。
 3月の次点でははっきりしていなかったこともわかってきました。そのことにしぼって聞いてみます。

 ①  は新予防旧事業の介護計画作成にあたって、介護計画を作るケアマネージャーの報酬が、大きく引き下げられ、さらに1人のケアマネージャーが担当する人数も8人に限度が設定されました。これできちんと介護計画が作成できるのか、その体制は確保されるのかどうかということ。

 ② 生活援助については、必要なものは継続するといわれましたが、じっさいにはどうなっているのか。国からの締め付けが厳しくなっているのではないか。

 ③ 保険料は高い。どうにかして引き下げる手法は無いのか。政府に協力に働きかけるべきではないか。


2006年6月定例議会