観光とはなに?何度も訪れてもらうには
全く新しいまちができた
萩市観光協会からアンケートが届きました。いきなり「萩市の観光をどう考えていますか」という問があり、12問を記述式で答えるものでした。旧萩市の観光協会ですから、これまで付き合いがありません。また旧萩市の「観光5カ年戦略」についての問もありましたが、私には回答すべき基礎がありません。旧須佐町の計画について、旧萩市の議員に回答を求めるのと同じです。旧萩市の人たちにとって、「萩市」という名前が変わっていませんので、旧萩市がつづいているぐらいにしか考えていない人も多いのではないでしょうか。しかし、全く新しい市ができたという意識を行政も住民も共有しなければ、住民間に軋轢が生じて新しいまちづくりは進まないでしょう。
そんな時に求められたアンケートには、
広い面積を持ち農林水産業と観光産業が基幹産業という条件を基にした回答をしました。
その初めの部分を紹介します。
「リゾート」という言葉がもてはやされたのが、10数年前のバブル期でした。リゾート振興法で、ゴルフ場があちこちにでき、現萩市の田万川で完成し、旧萩で計画がありました。それで、本当にリゾートが整備されたかというと疑問です。私は、観光というのは本来の意味でのリゾートであるべきだと思っています。それは「足しげく通うところ」というものです。どうしたらできるのでしょうか。
歴史遺産 日本海 田園 山林 人々の暮らしと文化
萩市においては、萩地区にある歴史の遺産、海沿いの萩・須佐・田万川(・阿武町も含めて)にある日本海と海産物、町村部の広がる田園山林と農林産物、そしてそこに光る人々の暮らしと文化という資源があります。
それらを観光資源として、観光の対象にするためにどんな手法を使うのかということが課題で、観光協会をはじめ、多くの方々の努力が積み上げられていると思います。
人々が「足しげく通ってくる」「通いたい」と思わせる努力が必要です。それは何か。
「楽しい」「嬉しい」「気持ちいい」という言葉の感想が出てくる場所なら、何度も通う場所になるのではないでしょうか。
萩市の観光で 欠かせないもの
わたしの観光についての基本的な考えを示したものです。
そしてまた、ちょうど同じ時期に「山里フォーラムのんたの会」の総会がありました。阿武町福賀にある「あったか村」の支援母体です。阿武町では、いち早く農村・漁村で休暇を過ごそうというグリーンツーリズム(私はカタカナより「ふるさとツーリズム」とか「田舎ツーリズム」のほうがいいと思っています。「ツーリズム」も「楽行」ぐらいにしたらどうかな)に取り組んでいます。私は新入会員で初めて参加しました。その総会には多彩な、それぞれに魅力的な人々が集まっていました。そこで、大切なことを勉強させていただきました。これからの萩市の観光に欠かせないことでした。
高速道路ではない
萩市には高速道路がありません。そのため、市長を初め多くの議員や経済界の人々が高速道路や高規格道路の建設を繰り返して叫んでいます。今回のアンケートにも、「萩市へのアクセスをどう思うか」という設問がありました。空港から15分、国道も渋滞の無い191号、315号、262号があるので十分と回答しました。逆に高速道路や高規格道路でせっかくの環境や景観に有害になるおそれがある、宿泊客も長門や山口に流れると指摘しました。
田舎だから残った資源
どんな観光を考えるかということで、アクセスの問題は対応が変わります。萩市の観光の資源は、田舎ならではのものです。大企業による開発が進まなかったことで、萩市の観光資源は守られてきたのです。高速道路をつくれば、人が来るか、来ません。アクセスのいい秋吉台にはどんどん人が来るはずです。ところが秋芳町の観光は苦しんでいます。道路ではないということに早く気づくべきではないでしょうか。
人とのつながり
のんたの会の代表は、福岡にすむ美しき女性です。彼女は「同じような田舎は福岡にもある。だけど、こうして何度も福賀を訪れるのはどうしてなのか。それは人です。ここにくれば魅力的な人に会える。魅力的な人が多いのではなく、みんなが魅力的なんです」と言われました。これだと思いました。田舎だからこそ残された、歴史遺産と自然・環境・景観そして、そこに生きる人々こそ、最大の観光資源です。
「楽しい」「嬉しい」「気持ちいい」人々とのふれあいこそ、これからの萩市の観光で一番大切なことではないでしょうか。